くり返し開く料理と製菓の本|“私の定番”ができるまで

かつて、毎日のように書店に通い、料理書を片っ端から見ていくような学生時代を過ごしていました。けれど近年は、普段の料理で本を開くことは滅多になくなりました。

料理を始めたばかりの頃、書籍を参考にしながら食材や調味料の組み合わせ、調理法を日々試しました。それを繰り返すうちに、求めている味に仕上げるには、どんな調味料をどのくらいの割合で組み合わせ、どう調理すればいいのかという感覚が少しずつ身体に染みついていったように思います。

今、身近な調味料を使って、例えば多国籍な風味を再現できるのも、あの頃に多くのレシピや調理法に触れていたからかもしれません。

先日、久しぶりに青山ブックセンターの料理のコーナーを訪れた際、今も自分の本棚にある数冊が並んでいるのを見かけました。

来客時や少し食卓を華やかにしたいとき、今でも開くのはトップの画像の2冊のような、シンプルな素材で作る本です。身体に負荷のない素材から美しい一皿が生まれる工程は、眺めているだけで心が弾みます。

一方で、この2冊は日常の食卓の参考に開いてみると、新鮮な組み合わせやおいしさを教えてくれます。
日頃何も見ずに自分の感覚だけで作っていると、自分がイメージした通りの味に収まりがちですが、時にレシピの制約に従うことで、新鮮なおいしさに出会うことができます。

学生の頃、青山ブックセンターや嶋田洋書店で手にした海外のレシピ集(ウィークエンドクッキングのシリーズ)も、大切な一冊です。
当時想像すらできなかった食材や調味料の重ね方を教えてくれたこの本からは、今でもわが家の定番として残っている料理がいくつもあります。

感覚や目分量が通用しにくいお菓子づくりにおいては、配合や工程の理由を知っておくことが欠かせませんが、実験のように少しずつアレンジしながらくり返し作っていると、分量の調整や置き換え、調理の感覚が少しずつ掴めるようになっていきました。

アレンジしたレシピで作ることが多いなかで、今もレシピをそのまま参考にすることが多いのがこの2冊。特に小嶋ルミさんの『おいしい生地』のレシピは、バースデーケーキなどのジェノワーズを作るときに参考にしています。
混ぜ方や焼き上がりの見極め方などが、細かい工程写真付きで詳細に記されており、家庭の台所でも再現性の高いきめ細やかな生地に仕上がります。

数多くの本を手に取ってきましたが、自分の手と好みに馴染み、くり返し作って自分のものとして残るレシピはごくわずかです。それでも時折、別の視点が詰まった本を開くことで、また新鮮な味付けを試してみたくなる良さがあります。

-歳月の栞-
この記事は当時の視点のまま、
読みやすいように再編集しています。

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