
ここ数年はお休みしていましたが、今年は渋皮煮を作りました。
手間と時間を天秤にかけると、「栗きんとんの方が手軽なのでは?」という思いも頭をよぎります。それでも、下の娘からの「渋皮煮が食べたい」というリクエストに背中を押され、今年は腰を据えて作ることにしました。
子どもたちがまた小さかった頃。
さまざまなものを手作りしては、季節の味わいを瓶に閉じ込める時間を愉しんでいました。
ですが、気づけば台所にこもる時間がかなり長くなりすぎてしまい、「これではいけない」と、一時期は手仕事を自粛していたこともあります。

作るとなると、つい大量に仕込みたくなる性分です。
しかし、栗の渋皮煮ばかりは量が多くなるほど、手間と時間がどこまでも比例してふくらんでいくもの。今年はあえて欲張らず、大粒の栗を選んで1キロだけを仕込むことにしました。
1キロとはいえ、やはり渋皮の工程には根気がいります。
一晩水に浸した栗の鬼皮を剥き、重曹を入れて茹でこぼし、一つひとつそっと渋皮の掃除をする。茹でこぼしから掃除までを三度繰り返してから、栗が柔らかくなるまで茹で、最後に蜜漬けにする。気の抜けない作業が続きます。
渋皮煮をおいしく作る、ひとつのアプローチ
今年は、栗をやわらかく茹でる工程で、サーモスの保温調理器「シャトルシェフ」を取り入れてみました。
煮崩れの心配をしなくていいシャトルシェフを使うことで、栗を傷つけることなく、芯までしっとりと茹で上げることができました。
渋皮煮をおいしさを決める最大のポイントは、この「いかにやわらかく茹でるか」にあるのではないかと感じています。多少の傷は気にせず、大らかに。今年もふっくらと仕上がりました。

手がかかるからこそ、完成したときの満足感はひとしおです。
以前は、出来上がった渋皮煮の大部分をすぐに瓶詰にしていました。「一度に食べるともったいない」「いつかお菓子作りに使おう」などと言いながら、「瓶に詰めて並べること」そのものに満足していたようにも思います。
けれど、本当の贅沢は、出来立てのおいしさをそのままいただくこと。
今回はケーキ1回分だけを瓶に詰めて、あとはそのまま、日々のいいさなおやつとして、少しずつ愉しむことにしました。

和栗のモンブランで知られるある洋菓子店によると、和栗の時期の中でも、9月の栗はフレッシュ感が格別なのだそう。
わが家でも、なんとか滑り込みで9月の栗を仕込むことができました。
静かな秋の始まりを、一粒ずつ味わいたいと思います。
当時の視点のまま、言葉を少し整えて。
—2017年の栞より
