栗を買ったらどう保存する?虫対策と、甘くするための低温保存

栗を買ってきたものの、すぐには調理できない。 

そんなとき、どう保存するのがよいのでしょう。栗の中にいるかもしれない虫も気になります。
一方で、栗は低温で保存すると甘くなることも知られています。 

調べてみると、答えは意外とシンプルでした。 

すぐに使わない栗は、まず低温へ。

保存中の虫はどうなるのか、何日置けば甘くなるのか。
昔ながらの「水につけて虫出し」も含め、研究でわかっていることを整理してみます。

目次

すぐ使わない栗は、まずチルド室へ

買ってきた栗を数日後に使うなら、まず低温で保存します。

農研機構では、収穫後すぐに虫の防除処理をしない場合、果実内の害虫による加害の進行を抑えるため、2〜5℃程度での保存を勧めています。

家庭なら、0℃前後のチルド室が使いやすいところ。農林水産省では、栗をポリエチレン袋に入れ、口は縛らず折るだけにしてチルド室で保存する方法を紹介しています。

袋に入れるのは、栗の乾燥を防ぐためです。

実際にこの方法で保存してみると、袋の内側にはかなり結露が出ました。栗が濡れるほど水滴がついたときは、余分な水分を拭き取って保存しています。

ポリ袋に入れて低温保存中の栗。結露が見られる。
保存前に洗う必要はなく、使うときに洗ってから調理する。

買ってきた日に栗仕事までできなくても、とりあえずチルド室へ。それで大丈夫です。

何日置けば甘くなる?

栗は低温で保存すると、デンプンが減り、ショ糖などの糖が増えることがわかっています。

品種や条件によって差はありますが、糖の変化は数日で始まり、0℃で2週間保存した栗では、全糖量が収穫時の1.7〜3.1倍になったという研究もあります。さらに低温保存を続け、4〜6週間ほどでピークに達した例もあります。 

数日後に使う栗も、低温へ。より甘みを引き出したいなら、少し待ってから使うのもよさそうです。

栗は、買ってきたら何かしらの処理を急いでしなければならない、というわけではないようです。

チルド保存中、虫はどうなる?

低温にすると、栗の中にいる虫の活動や食害の進行も抑えられます。

ただし、チルド保存=殺虫ではありません。

0℃で保存した研究では、数十日単位の長期保存による殺虫効果も確認されています。ただし、数日から数週間のチルド保存は、殺虫するというより、活動を抑えながら栗を保存する方法と考えるのがよさそうです。

生きた虫との遭遇を本気で避けるなら

栗の虫対策には、50℃の湯に30分間浸ける方法があります。
この方法は、クリシギゾウムシやクリミガに対して、高い防除効果が確認されています。

これから皮ごと茹でるのであれば、その後の加熱で虫も処理されます。

茹でた栗


50℃処理が特に意味を持つのは、栗ごはんや甘露煮、渋皮煮など、生の栗の皮をむく前に虫を処理しておきたいとき。皮をむいているときに、生きた虫と遭遇するのを極力避けるための方法です。

甘くしたいなら、低温保存を先に

甘みを引き出すために低温保存するなら、50℃処理はその後にします。
50℃で30分処理してから低温保存した研究では、糖は増えたものの、無処理で低温保存した栗に比べ、ショ糖の増加は半分程度にとどまりました。温湯処理を先にすると、低温保存による糖の増加を妨げることがあるようです。

そのため、甘みも引き出したい場合は、
チルドで低温保存 → 50℃で30分 → 皮をむいて調理
という順番にします。

農研機構では、2℃で26日間保存した栗をその後50℃で30分処理した場合にも、高い防除効果が確認されています。

「水につけて虫出し」は?

栗の虫対策として、水に浸けて「虫出し」をする方法も昔から伝えられています。
ただ、今回確認した研究では、常温の水に浸けることで、栗の中にいる虫を追い出せるという防除効果を示したデータは見つかりませんでした。

一方、水に浮く栗を取り除く「水選」は、現在も産地で行われています。水に浮いた栗を不良果として選別し、その後さらに虫害などを目視で確認する産地もあります。

水につけるのは選別に。確実な虫対策なら50℃30分。目的を分けて考えるとすっきりします。

長く保存するなら、甘くしてから冷凍

「栗は冷凍すると甘くなる」という方法も見かけますが、研究で糖の増加が確認されているのは、0℃前後での低温貯蔵です。産地でも、低温で一定期間保存して糖度を上げ、その後、長期保存のために冷凍する方法が使われています。

チルドで甘くして、冷凍で長く保存する。 

この順番で考えるとわかりやすそうです。

結局、買ってきた栗をどうする?

こんなときどうする?
今日〜明日使う冷蔵して普通に調理
数日後に使うチルド室へ
甘みを引き出したい0℃前後で低温保存(数日から糖が増加)
生きた虫との遭遇を避けたい皮をむく前に50℃で30分
甘くしたい+虫も避けたいチルド保存 → 50℃30分 → 調理
皮ごと茹でるチルド保存→そのまま加熱調理
長く保存したい低温保存後に冷凍

今年買ってきた栗は、ひとまずチルド室へ入れました。
すぐに茹でるつもりでしたが、少し待ってから使うことにします。

毎年なんとなく繰り返してきた栗仕事も、ひとつずつ理由をたどってみると、意外とやることは少なくなるものです。

参考にした資料

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