
コンセルヴァトワール・デ・ゼミスフェールで、真鍮の引き出しをひとつずつ開け、香りを確かめながら選んだものです。
湯を沸かし、ひとつずつ淹れてみました。
L’Ottoman|名前の先にあったもの
「L’Ottoman(ロトマン)」は、店でチャイのようなスパイスのお茶と最後まで迷って選んだものです。惹かれたのは、ピーカンナッツなどが組み合わされた、あまり見たことのない素材の構成でした。
蓋を開けると、ナッツの香ばしさと甘い香りが広がります。

熱い湯を注ぐと、湯気とともにスパイスともナッツとも言い切れない香りが重なって立ち上ります。口に含むと香りはさらに広がり、後味には熟成したレーズンのような深みが残ります。
改めてブレンドを確認すると、ピーカンナッツとシナモンのほかに、デーツ、トンカ豆、カカオなど、いくつもの素材が使われていました。
「L’Ottoman」のOttomanは、かつてのオスマン帝国を指す言葉。その名の背景を知ると、あのどこか異国を思わせる独特の香りも、どこか納得するものがありました。
[淹れ方:熱湯200mlに対して3g・7-10分]
Le Parfum de Positano|乾いた葉と、南の海
もうひとつは、「Le Parfum de Positano(パルファン・ド・ポジターノ)」。
こちらは、蓋を開けたときの姿からL’Ottomanとはまったく違います。

細かな茶葉の中に混ざる、果実や花びら。赤や緑、黄色が混じり合い、ポプリのような茶葉です。
湯を注ぐと、果実の爽やかな香りが一気に立ち上がります。L’Ottomanの甘く濃い香りとは対照的な、軽やかでフルーティーな香りです。
ベースのグリーンルイボスに、洋梨、レモンバーベナ、フェンネル、ローズヒップ、りんご、無花果、バラの花びら。
名前にあるPositanoは、南イタリア、アマルフィ海岸の町です。公式サイトには、このお茶を淹れる時間を、「真昼の太陽が降り注ぐポジターノの海」へと重ねる記述があります。
色のある花びらや果実、湯を注いだときに立ち上がる明るい香り。その名前を知ってから見ると、茶葉の印象も少し変わります。
パリの真鍮の引き出しの中にあった名前から、遠い南イタリアの海へ。ひとつのお茶の向こうに、もうひとつの土地の風景がありました。
[淹れ方:熱湯200ccに対して3g・7-10分]
日本で出会った、もうひとつの金色の缶
パリでは、自宅用のほかに、義母や義妹への贈り物として「Petit Trianon(プチ・トリアノン)」も選んでいました。マリー・アントワネットが愛した離宮の名を持つ茶葉です。
後日、義妹は店に興味を持って自分でも調べたそうで、有楽町のDEAN & DELUCAで見つけたと言って、ひとつの缶を届けてくれました。

金色の缶に入った、「Portofino(ポルトフィーノ)」。
パリの店頭で見た金色の缶が印象に残ったと話していたのを覚えていてくれたのだそうです。
蓋を開けると、ふわりと甘いバニラの香り。柑橘やハーブも使われていて、湯を注ぐとバニラの甘さの中に爽やかな香りが重なります。
Portofinoもまた、イタリアにある海辺の町の名前です。
パリから持ち帰った「Petit Trianon」はそれぞれの元へ。そこから巡ってきた「Portofino」が、いまわが家にあります。

またいつかあの店を訪れることがあれば、また違う名前の引き出しを開けてみたいと思います。
