卵焼き器は、自分が料理するようになって迎えた初代、リバーライトの鉄製をずっと使ってきました。
日々のお弁当の卵焼き、夕食に作る家族皆が好きな出汁巻き。毎日のように頓着なく扱っても、鉄の卵焼き器はびくともせず、ずっとわが家の台所で活躍していました。
ただ、出汁巻き卵を焼いていて少し気になることがありました。ガス火が当たっている周囲は固まり始めているのに、中央だけがまだ緩い、ということがあるのです。
圧倒的な熱伝導の高さがあるという銅製なら、もっと均一に火が入るのだろうか。
銅の卵焼き器はずっと頭の片隅にありました。
また、家族は皆だし巻き卵が好きなので、卵6個分を2つに分けて焼いたり、半ば無理矢理ひとつの大きな卵焼きにしたりしていたので、大きめの卵焼き器があったらいいなと考えていました。
とはいえ昔ながらの銅の卵焼き器は、料亭の厨房を思わせるような和の佇まいのものが多く、それはそれで格好いいのですが、わが家のキッチンで使うには少しハードルが高く感じ、手に取るまでには至りませんでした。
現代の暮らしに馴染む、保堂の銅の卵焼き
そんなとき、たまたま見つけたのが、新潟・燕の〈保堂〉の卵焼き器です。

シャープな正方形の本体に、真鍮の金具と天然木の持ち手。
銅の機能的な形はそのままに、異なる素材を組み合わせ、無駄のない直線で現代的に構成されています。
特に印象的なのが、銅と木の間に使われた真鍮です。赤みのある銅と色調の異なる真鍮が加わることで全体が引き締まり、その先にマットな天然木の持ち手が続きます。

銅、真鍮、天然木、そして内側のニッケルメッキの銀色。いくつもの素材を使い、金属の鈍い輝きがありながら、全体は装飾的には見えず、調理道具として端正です。
見た途端、惹かれました。

保堂の刻印がある。
保堂の卵焼き器には3サイズあります。卵1、2個でも厚みのある卵焼きが焼ける小さなサイズもとても魅力的だったのですが、ここは最初の目的を忘れずに、一番大きな正方形のLサイズを選びました。
実物を手にすると、大きすぎるという感じはなく、コンロに置いてみてもちょうど良いサイズでした。

油ならしで見つけた、銅色の小さな点
使い始める前に野菜くずを炒めて油ならしをしていると、内側のニッケルメッキに、小さな銅色の点があることに気づきました。大きさは1mmにも満たない程度。指で触れてみても凹凸はなく、完全に平らです。

小さな点なのでそのまま使うことも考えましたが、この部分を起点に、将来ニッケルメッキが剥がれてこないか気になり、保堂に直接問い合わせてみることにしました。
教えてもらったところ、胡麻粒の大きさを超えるものは検品で除いているものの、それより小さなものは製品として出荷しており、そこからメッキが剥がれていくようなものではないとのこと。ニッケルメッキ自体も使ううちに剥がれることはありますが、銅が露出しても使用上問題はないそうです。
使ってみて何か問題があればまた連絡してくださいとのことで、安心して使い始めることにしました。
銅の卵焼き器の使い方のポイント
使い始め
銅製の卵焼き器は、使い始めに油をなじませます。保堂では、最初に油を引いて野菜くずを炒める方法が案内されています。
調理のポイント
調理の際は、熱伝導が高いため火力は中火以下を目安に。ただし、温度が低すぎても卵がくっつきやすくなるため、コンロに合わせた調整が必要です。卵を流したあとは手早く巻き、巻くときは火から離すと焦げ付きを防げます。巻き終えたら火を止め、余熱で仕上げます。
手入れのポイント
内側にはニッケルメッキが施されているため、金属製の調理器具やたわし、クレンザーなど、表面を傷つけるものは避けます。また、空焚きもしないようにします。使用後は料理を入れたままにせず、洗ったあとは水気を残さず乾燥させます。水分が残ると、黒い斑点が生じることがあるそうです。
愛用している鉄製の調理器具とはだいぶ使い方が異なるので、注意が必要です。
銅の卵焼き器で、だし巻き卵を焼く
最初に焼いたのは、水分を加えないお弁当用の卵焼きです。これは綺麗に焼けました。
そして次は、そもそも銅の卵焼き器を使ってみたいと思った理由でもある、出汁をたっぷり含ませた本命のだし巻き卵に挑戦。
ところが、こちらはうまくいきません。卵が鍋肌にくっついてしまいました。
日を改めて、火加減を変えてもう一度。
また、くっつきました。現在、2連敗です。笑

銅の色は黄味寄りに変化しました

すでに現れた使用感
銅の卵焼き器は、まだ使い始めたばかり。
熱伝導に優れた銅の卵焼き器なら、出汁の多いだし巻き卵も焼きやすくなるのでは。そんな期待から使い始めましたが、「道具を替えればすぐに解決」というほど単純ではなかったようです。
水分が多くなると、流した卵が固まり始めるまでの時間が長く、くっつきやすくなるという話もあります。火加減なのか、油の量やなじませ方なのか、卵液を流すタイミングなのか。まだ試してみたいことはいくつもあります。
出汁をたっぷり含んだだし巻きを、するりと巻けるようになるまで、しばらく試行錯誤しながら探ってみます。
鉄の卵焼き器との違いがわかるのは、もう少し使い慣れてからになりそうです。


